お茶の間だより

おばさんの呟き

調理小物、文具、好きだったものたち

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文房具、調理小物。従来わたしの中に「捨てる」という選択肢がなかったものだった。大きな文具店やお菓子作りの材料や器具の専門店が大好きで、めったには行かなかったがその分見かけると素通り出来ない方だった。

百均にそれらが並ぶようになり、私も家族を得て独身の時ほどお金を自由に使えなくなると、百均がそうした雑貨を買う場所になっていたと思う。それもまた楽しく思っていた。筆記具に関して言えば、百均のものはあまり良くないからホームセンターなどに行くとまた楽しい。今は大手文具メーカーも頑張って工夫が色々されたものが売られている。それでも、子供たちが受験などで次の学校に行くたびに使わなくなった文具で溢れてしまう。

実際、私が今職場へ行く時に使っているペンケースは、次女が小学生の時に使っていたものだ。汚れてはいるが布製で軽く、ここに4色ボールペン、キャップつき鉛筆、消しゴム、半分に折った定規だけ入れていく。他に持ち物もあるので、軽く済むのが良い。家ではペン立てはなくしたので、ペンケースのファスナーを最大に開けて机の上に置き、加えて付箋だのはさみだの、使ったものをとりあえず放り込む。

4色ボールペンは、チェックに赤が必要なので便利だが、青があまり使われないのでメモなどどうでも良い事を書く時には青を使う癖がついた。ちなみに、海外へ行くとボールペンは青インクの事が多く、可愛いと思って買うとインクが青、ということがよくあった。もう海外旅行などおそらく行く事もなさそうだが、青い字を書くと異国をちょっとだけ思う事もある。

そんな風に、懸命に使えるものを安易に捨てないようにしてはいるが、私の消費がどうにも追いつかない。写真のものは貰い物だったり、子供ももう幼いからと使わなくなったもの。こどもたちが小中学生だった頃は勝手に処分してはいけないムードがあったが、長女が大学生、次女が高校生になったので、文具は一定の場所に入れるように言っている。まだどれも出来ているとは言えないが、雑貨やら本、出来れば衣類なども今まで、それぞれの場所に散らばっていたものを、出来るだけ1つの場所に集約しようと試みている。多分家族も1つの作業のためにあちこちへ移動しなくて済むはずだし、私はその集まったところを掃除なり断舎離すれば良い、と思っている。

ステンレスのザルと小さめのボウルは百均で買ったものだと思う。小さなバットは生協の通販で堅牢な作りのものだ。私はステンレスのキッチングッズが好きで、特に水まわりのスポンジ受け、シンクのごみ受け、洗い桶、食器かごは結婚してすぐにステンレスのものを買い揃えた。買い換えたものもあるが、基本ずっと使っている。劣化しないし、錆びないし、ぬめりが付きにくく、付いてもタワシでこするだけで落ちてしまう。なにより銀色に光る調理器具に囲まれているとプロっぽい感じがある、とか勝手に悦に入っていたかもしれない。

昨年のある日、テレビ番組で調理時間を短縮するコツを披露していて、ズボラ主婦歴20年の私は「そんな事、人に言われなくても合理的にやっている」と思っていた。しかしそのテレビに出ている人の主張は徹底していて、調理器具の入った引き出しや扉は調理が終わるまで開きっぱなしにしたり、逆にシンクは清潔を保っているので食材をそこに置いても大丈夫、などなど小さな工夫を重ねていた。ハンバーグなら副菜も含めて盛り付けまで20分で作ってしまうのだそうだ。その人の実践どおりには全て従えそうにはなかったが、参考にして自分なりに小さな手間を見つけては減らしていたら、ステンレス小物を出す事がなくなり、調理時間も減った。

何でも時短すれば良いものではないと私も思うが、短く済むと家事は楽、というその人の主張には大いに賛成するところがあった。最近では「とりあえずご飯を炊いておけばなんとかなる」くらいの気分で帰宅するので気が楽だ。思えば最近の断捨離も同じ理屈で「片付けなければならない物」が減って来て、戸棚や家の中が歴然とスッキリして来ると掃除も楽になり、却ってよく掃除するようになったと思う。

これもテレビだかネットで見た話だが、断捨離ルールで「迷ったら一旦手の届かないところにしまう、一定期間使わず、他のもので代用したり、あるいは全く使わなかったら捨てる」というルールを憶えていたので、ステンレス小物を箱の中に入れて吊り戸棚の中に入れておいた。思えば、愛用しているとは言え、使い終わるとシンク下の鍋などを入れているところに重ねて入れていて、ここも鍋や蓋、他の調理器具でごちゃごちゃになっていて料理の度に屈んでいた。小さなステンレス器を避けてみると、それでもまだあれこれと器具はあるもののだいぶスッキリした。

もう自分の手で書く文具はそんなに要らないし、百均に溢れるほど様々な調理器具があっても、もう要らない。子供の頃には憧れて、わざわざ電車に乗って百貨店に行き買ったようなものもあった。眺めるだけでも楽しいモノたちだったから、少し寂しい気もした。しかし、空いた吊り戸棚のスペースに今度はお菓子作りの型抜きや麺棒など、お菓子を作るときにしか出さない道具を入れたので、食器棚の一番下のスペースがスッキリとした。

大事にしていたものは思い出ごと大事にするのも良いが、時代は変わった。好きだった道具を、自分のお気に入りの店でお小遣いを崩して使う事が多分その時は楽しかったのだと思う。その楽しかった気持ちは、モノがなくなっても私の記憶からはなくならない。

なお、前回の丸元淑生の料理本だが、先週用事があって神保町界隈まで足を伸ばすことになり、あちこち覗いていたら、あの辺りの古本屋はジャンル別に扱っている店が多いことを再確認した。近いうち、カートにでも乗せて行って店々をぶらぶら回ってみたいと思う。